【7位:日立(13勝9敗)】 2011年以来の決勝トーナメント進出があと一歩届かなかった日立。結果的には7位だったが13勝。2008年ミッシェル・スミスが最後の年に露久保望美の活躍でトヨタが12勝で7位、2011年大橋美奈の最後の年にサラ・パウリーが活躍してHondaが12勝で7位というのがあったが、13勝あげても7位というのは、今年がそれらを上回る近年まれに見る大接戦の1年だったことを物語っている。 とにかく日立が決勝トーナメントに来られなくて、何が寂しいかってあの盛り上がるスタンドの大応援団を見られないのが一番寂しい。「朝から何杯飲んでんねん」と思うぐらい酔っぱらった(ようにしか見えない)応援団の盛り上げまくる応援を見てるだけで、こっちもなんだか楽しくなるのだ。ビールが進む進む(笑)。 で、チームの方は今年は上位陣に対してはトヨタには2敗したがルネサス、デンソー、誘電には1勝ずつしてHondaには2勝とほぼ互角。それだけに最大のライバルである織機に「2敗」というのがやっぱり致命的だった。ただ前半戦も4失点だったが、投手の泉が踏ん張り自慢の守備陣の活躍もあって数字以上に相手攻撃陣を抑えることはできたように思う。それゆえ来年こそリケッツ対策が何が何でも必要。となるとやはり右打者の林佑季、佐々木瞳、清原奈侑には来年特に頑張ってもらわなければ。 ちなみに下位相手での取りこぼしは前半の戸田中戦1試合のみ。泉がチェンジアップをドンピシャで張られてジェニファーにスリーランをかまされて負けた試合だが、泉&清原のバッテリーもこの頃はまだ経験が浅かった。今年1年間リーグでもまれた経験を生かせば来年はもっともっと抑えられるようになるだろう。 で、そんなことより佐々木瞳はどうだったかというと、 62打数,16安打,打率0.258,19打点,3犠打,3本塁打,2二塁打 ちょっと打率は低いが日立の4番でマークされる中での19打点(4位)は及第点。打率は1年おきに上下するので今年はダメでも来年は上がる年。とにかく来年はぜひとも打点王を取る勢いでチームに貢献し、日立のチームメイトと応援団と、それから大鵬時代から続く佐々木瞳応援団をぜひとも決勝トーナメントに導いてあげるのだ~!【8位:戸田中央総合病院(8勝14敗)】 ベスト4争いにも加われず、かといって外国人投手を補強しているメリットもあり下位争いとは無縁。いわば日本リーグのぬるま湯的立ち位置で中位をキープして今年を終えた戸田中央病院。とは言っても、2007年以降常に下位に低迷して2011年に2部経験すらあることを考えると、とにかく無難に1部に残れる成績でシーズンを終えるのが最低限の目標なので、ひとまず課題は今年もクリアといったところだろう。こういう位置をキープしている間にしっかり力をつけて、そして波が来たら再びベスト4争いに加わってほしい。 ただそうは言っても、今年の戸田中がリーグ戦のキャスティングボードを握っていた重要なチームであったことは間違いない。 今年の8勝のうち、特に光るのが前半の日立戦と後半のデンソー戦での勝利。日立戦は強風吹き荒れる難しい試合のなかでジェニファーが泉のチェンジアップをドンピシャで捉えた決勝スリーランによる勝利。後半のデンソー戦は大差をつけられながらも相手投手の乱調に付け込んで大量点を奪い逆転、しかも若手の古賀彩子が終盤デンソー打線を抑え込んでの勝利と、両試合とも戸田中の意外性をいかんなく発揮した素晴らしい試合だった。そしてこの2勝が結果的にはデンソーと日立に致命傷を与え、そして織機をベスト4に押し上げた大きな要因であっただけに、織機の関係者は戸田中にお歳暮くらい送っておいた方がいいかもしれない(笑)。とにかく主役にはなれなかったが今年の戸田中が「欠かせない脇役」であったことは間違いない。もちろんそれにはエースに成長した五味彩華の活躍と、新外国人投手のウィリアムソンがそこそこ使える投手だったことも大きい。 さてそんな戸田中の今年の打撃成績を見ると、小沢佳那子、内田千恵美、渡辺瞳、萩原瑠美、佐藤瑶とレギュラー中5人が打率3割超え。萩原は1年目から1割台、2割台、3割台と上がってきただけに来年は確実に4割打つだろう。そして3割に届かなかった村井美保とジェニファー・イーも2割7~8分なので、レギュラー陣は確実に全体的底上げがなされ力をつけてきた。ただ本塁打数が12本と伊予銀行の11本に次いで低い数字なのが課題。昨年の本塁打王の渡辺が怪我の影響で3本に終わったのが原因だが、来年は篠田美穂が復活し、渡辺も本来の力を出し、他の打者も1本ずつくらい上乗せしてせめて20本は越せるように。今のソフトボールではやはりホームランは大事な得点源だ。 そして最後に一人あげるとしたらやっぱりこの選手。上原依万里。 その上原のここ2年間の成績を見ると、 53打席で、50打数11安打1打点 8三振、打率0.220、出塁率0.231、長打ゼロ、失策4
50打席で、43打数 9安打2打点13三振、打率0.209、出塁率0.292、長打ゼロ、失策9
打率はやや下がったが出塁率は上昇。でも安打数は減って、三振も増えた。加えてエラーが倍増…(今年のエラー王)。まあ端的に言うと、ぶちゃけレベルダウン(笑)しっかりしろイマリ~!でも、持ってるものは良いものある選手だけに、きっと来年こそブレイクしてくれるだろう~。上原が安パイじゃなくなったら戸田中はもっと強くなれるのだ。【9位:SGホールディングスグループ(7勝15敗)】 戸田中と並んで同じような順位で1年間を終えたSGH。 前半戦1節の織機戦で関根有希、S・ポーターの活躍で3-2勝利の金星を挙げ幸先いいスタートを切り、5節でも日立を相手にパーナビーが好投し1-0完封勝利と、戸田中と同じように上位を争うチームにとっては無視できない存在としてリーグの行方に大きな役割を果たしたチームだったことは間違いない。その2試合以外は上位陣に対する勝利はなかったが、誘電には4-6と5-6、デンソーには4-5と1-2と接戦も演じており、Hondaにも前半戦2-3タイブレイカーと、どれも接戦を繰り広げての敗戦と惜しい試合ばかりだった。今後ますますリーグ戦を面白くして行ってくれるチームになるのは間違いない。 ただ投手のパーナビーが好投しながらも自らの暴投や送球ミスで自滅した試合があまりにも多かった。相手チームからすれば「投手のパーナビーに捕らせさえすれば95%くらいの確率で暴投して一塁セーフにしてくれる」と思えてしまうのはやっぱり大問題。オーストラリア人のスタッフも多いんだから、そこはなんとか鍛えて送球を克服させてあげてほしい。パーナビーがまともに一塁に送球できればSGHの勝利数は確実に3つは増える。 さて、リーグ戦ではないがやっぱり今年のSGHといえば全日本総合の準優勝。組み合わせに大いに恵まれたのもあったが、ルネサス高崎を破っての決勝戦進出は見事で、実にいいものを見させてもらった。 今年の個人成績では、世界一の打者ポーターが無難に本塁打王に座ってくれたのがなにより一安心だが、日本人で言えば山科真里奈がブレイクした1年でもあった。 と思って振り返ってみると、 67打席で、53打数11安打7打点打率0.208、4本塁打、2二塁打 4本塁打は立派だが打率が意外と低く2割そこそこ。四球が11あり出塁率が0.344と高いけど、思った以上にそんなに打ってなかった(笑)でも印象としては実にいいところで打ってくれたなという感じで、それはベンチの評価も変わらないだろう。守備には定評のある山科だけに、来年はその印象的な打撃面での活躍に数字が付いてくるような結果を残してもらいたい。【10位:伊予銀行(4勝18敗)】 2002年、12位に沈みながらも東邦銀行ピンクパンサーズの廃部によって入れ替え戦にまわりホンダ栃木に勝利し1部残留、2004年は12位に沈みながらミキハウスの廃部により入れ替え戦にまわるも2部2位の三島関病院が入れ替え戦不参加で1部残留、さらに2009年も12位だったが入れ替え戦終了後にレオパレスの廃部が決まり1部残留と、最下位ながら1部残留という奇跡が3度もあった伊予銀行。2003年に11位になり入れ替え戦でスルガ銀行サンデーベアーズにサヨナラ勝ちして1部残留という「自力残留」はあったが、入れ替え戦も回避しての本当の意味での「自力残留」は今年が初めてだった。ということは順位も10位ということで過去最高位。2017年の愛媛国体まではぜひともこれ以上の順位をキープして1部に居続けて欲しいものだ。伊予銀が1部にいないと全日本総合の四国枠が一つ減ってしまうことになるので、少なくとも愛媛大会が行われる2016年シーズンは1部に居てもらわないと困る。ということは来年2015年の10位以上は至上命題だ。地元愛媛の全日本総合には愛短が出られるチャンスも作ってあげねば。 ふと思ったのだが、今年もし伊予銀行が12 位だったら、やはり「どこかが廃部になり伊予銀が残留」というジンクスは続いたのではないだろうか?そしたらルネサスがビックカメラへの譲渡は決まったが、「今までの宇津木さんの悪行を反省して来年は2部からスタートし直します」みたいなことが起きたかもしれない。それを思うと、あー伊予銀が12位になってくれたらよかったのになあ~なんて思ったり思わなかったりしなかったりで…。 以上、余談。 さて今年の成績だが、確かに自力残留は立派だが勝った相手がシオノギに2勝、ペヤングに2勝の計4勝。「直接のライバルに勝つ」ことが順位争いにおいてはもっとも重要な要素なので、これはむしろ褒め称えられるべきことではあるが、しかしやはり上位相手に勝利して違う喜びも味わってほしい。 今年も日立に1-2、ルネサスに3-4、織機に2-4、デンソーに0-1と上位相手に惜敗できるくらいにはなってきたが、ただそこで勝ち切れるイメージがまだ湧かない。さかのぼれば2010年にルネサス相手に延長タイブレイカーで11-12なんて試合もあった。その試合はネットでリアルタイムで経過を追っていたが、しかしなんとなく「結局は負けるんだろうなぁ」という感じがしてしまい結局そうなったのも事実。むしろ今年最下位だったシオノギ製薬などの方が時に上位陣に勝利する意外性はあるので、伊予銀もそろそろ上位陣に対して勝利しリーグをかき回せる存在にレベルアップしてほしい。 ただ今年のチームに中森菜摘が残っていたらとか考えるとやや同情的な面もある。とにかく今後は育った若手選手が矢野輝美のようにしっかりチームに残って主軸として活躍して行ってくれるようになれば、いずれはきっと上位陣にも勝利できるようなチームになれるだろう。 そんな中で特に期待なのが中森の後継者でもあるショートの山崎あずさ。昨年は2部でも打撃30傑に入らないのだから今年は大ブレイクの年。日本人3位の5本塁打に3二塁打は見事な成績で、打率は0.288とやや低いが出塁率は4割超え。ショートでの8失策も御愛嬌で、来年は確実に半分の4つ以下に減らしてくれるだろう。この山崎の来年の飛躍には期待大だ。 それとやはり今年は新人投手がよく頑張った。後半戦はエースの木村久美が復活し結果を残したが、高卒新人の庄司奈々の前半戦の2勝が非常に大きかった。開幕戦はリリーフでペヤングの流れを止め勝利、シオノギ戦では1失点完投勝利。正直、庄司がいなければ伊予銀は12位になっていたかもしれない。ただ伊予銀が12位だったらビックカメラが突然引き受けてくれなくなってルネサスが廃部になり伊予銀が1部に(もうええ…笑)。大卒の新人「泣く子も黙る内海花菜」も後半の織機戦で好投したし、シーズン最終節では3人が投げてデンソーに0-1の惜敗もあった。秋元コーチがこの冬さらに鍛えあげてくれるはずで、来年はもっといい投手陣になってくれるだろう。 【11位:ペヤング(3勝19敗)】 昨年は7勝もあげて10位で残留できたペヤング。7勝したのに10位はちょっと可哀想でもあり、逆に7勝もできたのは上手く行き過ぎたかなといった感はあったが、逆に今年の3勝はちょっと上手く行かなさすぎだったかもしれない。チームとして歯車がかみ合わなかった感じがする。もう一つ二つ勝利数が増えても良かったが、やはり昨年大車輪の活躍をしたエースの菊池遥が怪我の影響か不調が長引いたのもあったように投手陣の不調が大きかった。 特に開幕の伊予銀行戦はその菊池が打たれて点差を広げられたあとに本塁打3本で追いつくという勢いづいた試合を、その後のリリーフ陣の大乱調で大差負けで落としたのだが、結局はあの試合が投手陣で苦労する今年1年を象徴していたのかもしれない。ただそれでもなんとか最後の最後に11位に踏みとどまったのは立派。1部でも勝てるイメージをつかんだ去年の経験も生きたのだろう。 そんな不調の投手陣の中で、大きかったのが比嘉マユミ・ニウゼの存在。戸田中で2010年に1勝あげたがその後は他の外国人投手が入ったことで登板機会なし。昨年は通訳として一線から退いていたが、今年ペヤングで現役復帰して貴重な2勝をあげた。特にシーズン最終戦でその古巣戸田中を相手に完投勝利しチームを2部自動降格の危機から救ったピッチングは見事だった。 そのペヤングはこの後すぐの入れ替え戦で2部の強豪靜甲と1部残留をかけての死闘を繰り広げることになる。 まだまだシーズンが続いているペヤングについては、入れ替え戦を見てからまたシーズンを振り返りたい。シオノギ戦での山本葵衣の奇跡の満塁弾も、最終戦での比嘉マユミの好投も、入れ替え戦で負けて2部降格してしまったら全てがパーだからね。【12位:シオノギ製薬(3勝19敗)】 23年ぶりに2部に降格したシオノギ製薬。 ここ数年は毎年ギリギリの戦いでサイタマンさん曰く「年中行事」の入れ替え戦に出ては1部に踏みとどまるということを繰り返してきたシオノギだったが、とうとうこの時が来たか、という感じで2部降格が現実のものになってしまった。。 開幕の戸田中戦に勝利し、続くHonda、SGHと3連勝した時には霧のかなたにかすかに「決勝トーナメント」の文字すら見えたのだが、それは遥かに手の届かない幻だった。ただそれでも、まさかそのあと19連敗することになるとは想像できなかった。。 今年のシオノギにとってあまりにも痛かったのは後半7節のペヤング戦。5回まで5点差で勝っていながら6回に四球連発のすえ山本葵衣に起死回生の同点満塁弾を浴びたが、まだ同点まではよかった。しかし次の7回にすぐに勝ち越されて負けたのが痛かった。確かに奇跡の満塁弾ではあったが、そこからシオノギが逆に勝ち越していれば笑い話で済んだこと。今までのシオノギなら踏ん張って来られたのだが、今年はそこで勝ちきれないのがやはり2部に落ちてしまうチームたるゆえんだろう。 とは言っても日立やルネサスとも互角の勝負ができる潜在能力を持っているチームであるのも事実。伝統の守備力も健在で細かいプレーに関しては鍛え抜かれている。2部に降りたらちょっと頭一つ抜けた存在であることは確か。先の国体でもCLUB北九州主体の福岡県を相手に登板した岩田みゆきが三振の山を築いたように、おそらく岩田、松本、村上の投手陣なら2部ではほとんど打たれないだろう。ただ試合数の少ない2部では1つの取りこぼしも許されないので、油断は絶対に禁物。2部は好打者揃いなので油断すれば一気にたたみ掛けられることもある。もう今から来年の2部全勝と実業団大会優勝を目指して気を引き締めてスタートしてほしい。 今年の打撃成績を振り返ると3割打者は一人もおらず、4本塁打を放った新人の數原顕子の0.254が最高と、今年チームが苦戦したのが如実にわかる。とにかく誰か一人でもブレイクしてくれる打者がいればよかったが、今年は総じて全体的に打撃不調で終始したシーズンだった。 まあとにかく2部に落ちてしまったのは仕方がない。それに僕らみたいな2部ファンからすれば、多くの選手が2部の素晴らしさを経験してくれるのは何より嬉しい。シオノギのような良いチームが2部に来てくれればまた新しい風が吹くわけで、2部リーグの面白さも倍増する(勝ちすぎるのは困るが、笑)。 とにかくこれで、来年の2部に大きな楽しみができた。
↧