シーズン前恒例の「引退、移籍、新加入選手」特集、その1。(現在旅先にて、写真は後日戻ってから改めて添付します)【トヨタ自動車】退団選手:4人(1B/25)馬渕朝子(7年)(OF/ 7)中村早紀(5年)( C/20)木村麻美(3年)( C/23)妹山玲奈(1年)新人選手:4人( C/20)中川なおみ(神戸野田→園田学園女子大)(3B/ 9)古澤春菜(京都西山→園田学園女子大)(3B/19)山本絵梨奈(安田女子→東京女子体育大)(CF/ 7)塚本智名(水口→中京大)移籍加入選手:0人※退団選手 北京五輪での金メダリスト馬渕智子の妹ということで、馬渕朝子は入った時から注目していた。正直なところ、最初に見たときに彼女が強豪トヨタでレギュラーを取れるほど活躍するとは思わなかった。特別に目立ったパワーやスピード、突出した技術があるわけではないのだが、試合で使うとチームが意図した通りの堅実なプレーをしてくれるし、良い場面で期待以上の結果を出してくれた。ファーストのレギュラーの前任者だった藤崎由紀子もそんな感じの選手で、まさに後継者といった感じだった。2011年、2012年は藤崎と併用の形で起用され、2013年以降は強豪トヨタのレギュラーとして勝利に大いに貢献してくれた。 中村早紀は有名な中村三姉妹の長姉。トヨタに入ってからはほぼ代走一筋であったが、5年間ほぼミスなくグランドを駆け抜け続けた。打席は少なかったが昨年は4打数の3安打、5年間で0.357と意外と結果を残していた。 木村麻美は捕手として入ったが残念ながら3年間で試合出場はならなかった。ただ選手登録だった昨年からすでに裏方のスタッフ的な仕事をしてチームに貢献してくれていたことと、何よりトヨタには珍しく(?)いつも愛想よく、常に笑顔であいさつしてくれる実に気持ちの良い選手だった。こういう選手が一人でもいると、そのチームの印象全体が良くなるんですよね。長崎とか塚本とか長崎とかは見習うべきだ(笑) 妹山玲奈は実力的にはまだまだ十分活躍できたが体調面の問題で残念ながら現役は1年間だけだった。ただその1年の現役期間に地元長崎国体が開催されて選手として出られたというのは一生の思い出になるだろう。今後はスタッフとして陰からチームを支えることになる。※新加入選手 大学時代に名を残した有名選手が一挙に4人も入った。高卒から入って5年目の長崎望世代が同期で、他に成長著しい鈴木鮎美などもおり、さらに前後の年代には山崎早紀や山下りらなど有力選手が多数控えていることから、今後は仁義なき血みどろのレギュラー争いが繰り広げられるのは間違いないだろう(大げさか、笑)。いやそう思わざるをえないほど、トヨタは実力者がひしめいており、むしろどうどうやって使うのかで頭を悩ませそうだ。特に塚本智名などは1年目からレギュラーとして使えば新人賞は間違いないほどで、どうせなら他のチームに入ってアボットや上野と対決してほしかったと一ソフトボールファンとしては少し残念ですらある。【ビックカメラ高崎(ルネサスエレクトロニクス高崎)】退団選手:5人(P&3B/18)黒川春華(13年)(1B/12)大久保美紗(10年)( C/ 2)峰幸代(9年)(OF&2B/16)中野久美(8年)(SS/24)相馬満利(2年)新人選手:4人( C/ 1)降矢香(神田女学園→東京国際大)(OF/12)石野江里佳(藤村女子)(OF/20)関優美子(とわの森三愛)(OF/28)イビネディオン絵里香シャディー(木更津総合)移籍加入選手:1人(LF/23)メーガン・ウィギンズ(ジョージア大→デンソー)※退団選手 黒川春華は木更津総合→ルネサスの流れを作った最初くらいの選手だったのではないだろうか。13年間ルネサスにいながらも、ルネサスっぽくないというかスマートじゃないというか、常に泥臭いところのあるプレースタイルで、個人的には好きな選手だった。投手としても非凡ではあったが、ある年は三塁手としての出場も多かったりと、監督の気まぐれな起用にも精一杯応えていた健気なプレーヤーだった。 その黒川から3年後にルネサスに入った木更津出身選手が大久保美紗。高校時代は投手としてならしたが、日本リーグでは職人的な小技とここぞという時の長打も兼ね備えるという、唯一無二の打者として歴史に名を残した。その特徴がいかんなく発揮されたのがトヨタ自動車にモニカ・アボットが加入して以降の大久保の活躍。一昨年に引退した関友希央とこの大久保によるアボット攻略作戦はソフトボール史上に残る名勝負として永遠に語り継がれるべきものだと思う。ただこのブログでも何度も言及したが、願わくば全盛期の大久保が上野と対戦する姿を見たかったものだ。 さらにその大久保の1年後輩として木更津総合からルネサスに入った峰幸代に関しては、もはやわざわざ言及する必要はないだろう。あれだけの知名度と実績があるのだから今後もさまざまな形でソフトボール界に貢献してくれるはずだが、彼女の人柄などを考えると、願わくば宇津木氏や上野由岐子から距離を取った自由な立場でソフトボール界に貢献してくれるのを望みたいのだが、まあ無理だわな(笑)。 上記のようなベテランの実力者に比べて、名前的にはそこまで有名ではないが、今年のビックカメラ高崎にとって最も戦力的にダメージが大きいのは中野久美の引退ではないかと思っている。人生最後の打席がリーグの優勝を決定する逆転ホームランだったはずが、離塁アウトで取り消されるという悲劇はあったが、逆にそれもなんとなく中野のソフトボール人生を象徴しているような気がしないでもない。敵として見てもそこまでも目立たないし大した怖さもなかったのだが、しかし振り返ると勝負のポイントで必ず何か仕事をしているという本当にやっかいで嫌らしい、そして素晴らしい選手だった。外野の全ポジションとセカンド守備を無難にこなし、プッシュバントも得意でパンチ力も抜群。「本当にいい選手だった」、とういうのを、引退した今になってひしひしと感じさせる。 相馬満利はなぜか大学3年時から並みいる日本リーグの実力者をさしおいて全日本代表に選ばれ続けてきた選手。当時から「どうせルネサスに入れるために無理矢理選んでるのだろう」とささやかれていたが果たしてそうなり、いわゆる宇津木ジャパンの私物化の象徴的な選手とされてしまった。もちろん本人に罪はなく、むしろ目をつけられた被害者。あれだけの守備力とスピードがあれば、宇津木氏に目をつけられさえしなければもっと長くソフトボール選手を続けられただろうに…。※新加入選手 今年の新人選手、移籍選手の中でやはり目に付くのがデンソーから移籍したメーガン・ウィギンズ。デンソーを辞めた経緯、ビックカメラ高崎に入った経緯がわからないので引っこ抜いたのかどうかはわからないが、ただ日米で首位打者を取るような強打者の獲得はかなりの戦力アップになるのは間違いない。選手層が薄くなったので、大卒の降矢香には1年目からある程度働いてもらわないと困る。高卒新人の3選手は今後試合で使える選手として徹底的に鍛え抜いて行くことになるが、それぞれどういうタイプの選手に宇津木監督が仕上げて行くのかも見ものである。【豊田自動織機】退団選手:4人(1B/26)小柳薫(5年)( P/18)北岡志帆(4年)( P/27)江里口淳子(3年)(CF/28)中村白(3年)新人選手:3人(P&DP/26)海部栞菜(木更津総合→IPU環太平洋大)( C/ 9)澤井美佑(神戸野田→日本体育大)(SS/15)下山実咲(東海商→中京大)移籍加入選手:0人※退団選手 今年の織機の退団選手については本当にいろんな意味で残念というか、気の毒な選手が多い。 小柳薫は東京女子体育大時代に日本代表に選ばれ主軸も打っていたような強打者。ジャパンカップでのアメリカ代表との試合でも一番良い当たりを放っていた選手だったのを覚えている。国体でも東京代表で出場し、その時の主体だったレオパレス21に進む選択肢もあったが、悩んだ末に織機に進む道を選んだ。織機に進むと日本リーグ1年目からレギュラーとして活躍して新人賞を獲得したが、正直なところ新人賞は当たり前で、逆に打率が3割ちょっとしかなかったのをすごく物足りないと感じていたくらいだった。それくらい実力はお墨付きで将来に渡って織機の中心選手としても日本代表としても長く活躍してくれるものと信じて疑わなかった。その小柳が大卒とは言えわずか5年で引退するとは想像できなかった。特に3年目の2012年(永吉監督が辞めた翌年)はなぜか出場機会が激減しレギュラーも外され、ある節では遠征メンバーすら外されてトータルわずか27打席しかチャンスを与えられなかった。気の優しい彼女に対してベンチが不可解な試練を与えて潰してしまったような印象がしてならない。あんな良い選手をチームとして育てきることができなかったのは、織機の損失であると同時にひいては日本ソフトボール界の損失でもあるだろう。 北岡志帆は2011年世界ジュニア選手権で準優勝した時のメンバーでもあり、上背はないがコントロールが良く非常にまとまりのある投手らしい投手で、高卒1年目からリーグ戦での登板機会も与えられていた将来性豊かな選手だった。この北岡もチーム事情もありベンチの起用法に翻弄された実業団生活だったような気がする。3年間で11試合のリーグ戦登板機会があったが、このうちルネサスに3試合、トヨタに2試合と上位2チームで半分を占めた。この全ての試合を見ていたが、「決勝トーナメントを見据え外国人投手は当てたくないし、日本人エースの栗田も温存したい」「一旦火の付いたトヨタ打線に主力投手を使いたくない」というような意味で若い北岡が投入された場面がほとんどだった。ギリギリでのベスト4争いを続けていたチーム事情を考慮すると仕方がなかったとはいえ、こういう使われ方で若い投手が投げさせられ打たれての繰り返しでは、自信をなくしてしまうのは当然だろう。北岡も完全に自分の投球を見失いまともに捕手まで投げられなくなった時期すらあった。織機の戦い方にもっと余裕があったり、じっくりと育てられる環境にあるチームに入っていたら、北岡の本当の能力が発揮されきっと良い投手になれたはずなのだが…。20年以上決勝トーナメント進出を続ける織機だが、その陰にはこうやって犠牲になってくれた若い投手が居たことも忘れてはならない(ちなみに打撃も良かったので個人的には打者としての北岡も見たかった)。 小柳、北岡と同じかそれ以上に残念だったのが中村白(さら)の早すぎる引退。「白」と書いて「さら」と読ませる名前は、自分が見てきた中では一番素敵な名前でもあった。3年間のリーグ生活では代走での出場が主だったが、走塁時の打球判断が正確で、とにかく小技や走塁の下手な織機としては貴重な存在の選手だった。走塁もそうだが、守備でもセンターからの返球は常に正確で、目立たないが一つ一つのプレーが丁寧でいずれ時がくれば一気に成長する選手だと信じて疑わなかった。個人的にはレオパレスで4年間出場機会がなかったあとに急成長した永吉理恵とダブらせてみる部分すらあった。こういう選手をじっくり育て上げてこそチーム力が上がるしそれこそ指導者の醍醐味じゃないのだろうか。2年目から3年目のオフにかけて打撃力も急激に成長し、去年新たに就任した丹下監督も中村には期待してくれた部分もあったように思えるのだが、とうとう「チームとして」育てきることができなかった。まだまだ未知数の潜在能力が隠されていたと信じていただけに彼女の引退は本当に残念でならない。この3人とも、もう少し早く丹下監督が就任していればソフトボール人生はもっと充実したものになっただろうに…。ちなみに空や星が好きというロマンチックな少女でもある(笑) 江里口淳子は昨年時点ですでに第一線から退いてスタッフ活動をしており、今回は正式な引退ということになった。とにかく高校時代の「全6試合完封勝利による総体優勝」というのがすごい記録。計42イニング無失点で、試合数が最大5試合になった今は延長戦を含まないと無理な記録で、おそらく永遠に破られないだろう。環太平洋大に一期生として入り、卒業後1年間のクラブチーム経験を経て織機に入った。織機では思ったような結果は残せなかったが、彼女も北岡と同じように陰でチームの力になってくれた。そんな彼女に関して特筆すべきなのは、とにかく歌唱力が抜群なこと。今時のプロの歌手よりも明らかに上手い。何曲かYoutubeにアップすべきだと思う(笑)※新加入選手 トヨタ同様に、織機も今年は大卒3選手のみの新加入となった。 投手の海部栞菜は早い段階で登板機会が訪れるだろうが、パンチ力のある右打者としても織機には少ないタイプなだけにむしろこちらで貴重な存在になるかも知れない。織機の捕手はここ数年は小柳、洲鎌、永溝と兼職選手ばかりだったが、澤井美佑は久々に入ってきた本職の捕手。しかも捕手としてはほとんど外れのない日体大出身ということで否が応にも期待が増してしまう。下山実咲は織機のあの内野陣にいきなり割って入るのは至難の業だが、地元出身選手としても大事な存在なので、焦らせずにじっくりと中心選手に育てて行ってほしい。【太陽誘電】退団選手:1人(3B/ 7)高橋愛実(1年)新人選手:2人( P/11)稲葉みな美(桐陽)(CF/ 8)子安愛美(星野)移籍加入選手:0人※退団選手 立命館大から入った高橋愛美は残念ながら1年での引退になってしまった。主に代走で9試合に出場、打席も5あったのだが、せめて1本打たせてあげたかったな。※新加入選手入ったのは高卒新人が二人。センターを守る子安愛美はさすがに誘電が取るだけあってよくまとまった玄人好みしそうな良い選手。長身左腕の稲葉みな実は静岡の桐陽時代からひそかに名の通っていた選手で、地元実業団チームも目をつけていたらしい。じっくり育てれば良い投手になりそうで、リーグで「みなみバッテリー」が実現されるのを楽しみに待ちたい。【デンソー】退団選手:4人(C&1B/17)伊藤綾香(8年)(3B/11)安永美穂(5年)(OF/24)齊藤優華(3年)(LF/23)メーガン・ウィギンズ(3年→ビックカメラ高崎に移籍)新人選手:4人( C/28)山澤葵(京都西山→立命館大)(IF/12)川畑瞳(神村学園)(IF/19)兼平真咲(創志学園)(OF/21)音地萌(創志学園)移籍加入選手:2人(P&DP/33)ジャクリン・トレイナ(ネーブルズ高→アラバマ大)(SS/11)山根すずか(木更津総合→シオノギ製薬(2年)→東京女子体育短大)※退団選手 レオパレス21の廃部が最も悪い方に働いたのが伊藤綾香だったかもしれない。選手として最高の時期で日本代表にも選ばれていてまさにこれから、というその時にチームが廃部になり、半ば引き継ぐ形になったドリーム☆ワールドに移籍し2部から再スタートした。そのタイミングで代表監督が宇津木氏になったのも不運で、2部所属の伊藤は声すらかけられなかった。ただ1年間だけだったが伊藤と小野奈津子がいたあのドリーム☆ワールドは今思えばすごいチーム。あのチームはいつまでも印象に残り続けるだろう。その後デンソーに移籍した翌年春先のトヨタカップも強烈だった。とにかく毎試合ホームランを打ちまくっていて、こりゃシーズンは何本打つのだろうかと思わせたが、ただ残念ながらその後もリーグではこちらが期待するような圧倒的な成績は残せなかった。右肩の怪我の症状が重くそれが打撃にも響いていたようだが、この伊藤が一つのチームでじっくりと成長してプレーを続けていたらどれだけの選手になっていたかと思うと残念でならない。体格の良さも手伝って一見するとやさぐれた感じのヤンキー風に見えるが、実は良く見るとなかなか可愛い顔をしていて、僕の知り合いが伊藤の追っかけをしていたくらいだった。最後の文章は要らんか(笑) 安永美穂は森澤監督になって以降の自由で意外性満点の選手起用を象徴するような選手。普通の監督なら絶対にやらないだろうがこの安永を時に4番に据えしかも2013年には貴重なホームランを何本も放ってチームの決勝トーナメント進出に貢献した。その2013年は安打は計8安打に終わったが、なんとそのうちの半分の4本がホームラン。まるで往年の大振りトマソンか広島のランス、メジャーで言えばアダム・ダンみたいな成績。しかも見た目はあんな普通の体型の右打者ながらも、というのがすごい。とにかく豪快なフルスイングが印象的で、なかなかこんな特徴的な結果を残す選手も現れないだろう。齊藤優華は神田女学園中時代は元レオパレス21の古渡美奈さんの教え子。足を使う攻撃を最も得意とするデンソーでここ2年間はほぼ毎試合代走で出場した足のスペシャリスト。塁に出して安心して見ていられる選手だった。3年間での現役引退は短かすぎたが、今年からはマネージャーとしてチームを支えてくれる。マネージャーも大変な仕事なので頑張ってほしい。※新加入選手 ここ最近良い選手を輩出している創志学園からの二人を含め、4人の新人はデンソーなら1年目からなにかしらの出場機会を与えられるだろう。好打者ウィギンズの後釜に座るのが投手としても打者としても能力の高いジャクリン・トレイナ。同じように投打で活躍するジョーリン・ヘンダーソンとどのような形で併用するのか、監督の采配もファンにとっても楽しみの一つだ。 山根すずかはシオノギ製薬で1年目からセカンドのレギュラーで活躍した非常に能力の高い選手。高校時代から市口侑果、高坂香月と並んで同世代では3本の指に入る内野手だった。シオノギ時代にリーグの開幕戦で印象的な活躍をしてきたのもこの山根の特徴である。1年目のナゴヤドーム大会、延長サヨナラ勝ちした靜甲戦では2点ビハインドの7回に同点の起点になるエンタイトル二塁打を放てば、8回にはサヨナラのタイムリーヒットと大活躍。2年目の京都大会佐川急便戦でも初回に先制のタイムリーヒットを放ったが、しかし1-1の同点で迎えた延長8回には平凡なセカンドゴロをファンブルしてサヨナラエラーと、とにかく良くも悪くもこの山根が主役を演じた開幕戦2試合だった。果たしてデンソーの選手として迎える三度目の開幕戦ではどんな活躍がみられるだろうか。【Honda】退団選手:3人( P/18)稲元沙貴(7年)(OF/12)横山薫(3年)( C/55)ケイリー・ラフター(2年)新人選手:2人( C/21)大塚友紀(本巣松陽→岐阜経済大)(LF/ 7)村上ほのか(日出→山梨学院大)移籍加入選手:1人(1B&DP/26)バレリエ・アリオト(フットヒル高→カリフォルニア大)※退団選手 木更津総合時代に全国制覇したこともある稲元沙貴。昨年も選手登録はしていたがすでに第一線を退いてマネージャー的な活動をしており、今回は正式に現役を引退ということになった。この選手もとにかくいつも笑顔で明るくて愛想もよくて、気持ちの良い選手だった。稲元の1年目が2008年で北京五輪が行われた年。ちょうど中国戦で佐藤理恵がスリーランを打った日、同時刻に山梨でやっていた国体関東予選を見ていたのだが、敗者復活戦だらけの関東予選でコマネズミのように連投させられ続けていたのがこの稲元だった。炎天下の下、試合を見ているだけでも暑くて意識朦朧とするのに、あんな酷使されたら死ぬんじゃないかと本気で心配したものだ。リーグでは7年間で投球回数が26.3回で0勝4敗と、期待したような結果は残せなかったが、個人的には1年目の山梨での国体予選や、大鵬薬品の最終戦となった2011年の山梨大会での先発登板など、なぜか山梨と関連した稲元の印象が強く、思い出に残る選手になった。ちなみに、この稲元のお父さんが面白いブログをやっていて、たまにそこから漏れてくる微妙な内部情報が面白かったのだが、それがなくなるのもちょっと残念だ(笑) 湘南学院から淑徳大を経てHondaに入った横山薫は3年間という短い現役生活で、打席も計22で4安打と試合に出る機会があまりなかった。しかし最後の2014年の第8節は3試合ともレフトのスタメンで出場すると、太陽誘電戦では3点目となる貴重な犠飛、戸田中戦では得点の足がかりになるヒットにダメ押しとなる生涯唯一のソロホームランと大いに活躍した。その誘電戦が終盤にツーラン2本を打たれるという奇跡の逆転負けで事実上そこで決勝トーナメントへの道が閉ざされただけに、もし勝ってHondaがベスト4にでも入っていれば横山の活躍がもっと注目されたのだったが。 ケイリー・ラフターは捕手としての守備力は少し物足りなかったが、とにかく昨年最終第10節の爆発がすごかった。初日のシオノギ戦で1本打つと翌日のトヨタ戦で3打席連発。願わくばこれがもう少し早い段階で出ていてくれればよかったのだが。※新加入選手 新人は大卒が二人だが、山梨学院大から入った村上ほのかの評判がいい。スピードもありパンチ力もあり、何よりソフトボールをよく知っているタイプの選手で安心して起用できる。1年目からレフトのレギュラーを任されそうだが、となると他のベテランにも奮起してもらわなければ。加トちゃん頑張れ。ラフターが退団し捕手が田井しかいなくなったので、新人捕手の大塚友紀も頑張ればチャンスを掴めるはず。 昨シーズン8本塁打を放った捕手ケイリー・ラフターに代わってやってきたのが、ここ数年のアメリカ代表中心選手のバレリエ・アリオト。野球風に言えば「現役バリバリのメジャーリーガーがやってきた」という感じか。シーズンが入って各チームがどう抑えるか、どれくらいの結果を残すのかが今からとても楽しみだ。特にデンソーバッテリーがどう攻めるかを注目してみたい。ただアリオトの守備が捕手ではなく一塁手かDPということで、成長著しい森山や佐野と被るのが若干のマイナス点でもある。
↧