【日立】退団選手:3
(SS/ 3)西山麗(13年)(RF/13)杉山真里奈(11年)( P/14)畑迫遼子(2年)新人選手:6人( C/13)鈴木理恵(日出)( C/22)数馬志保(年)(IF/ 4)那須千春(上山明新館)(IF/20)松畑美希(神戸野田→日本体育大)(IF/26)市川咲子(日出)(OF/17)槌谷史花(帝京安積→日本体育大)移籍加入選手:人※退団選手 名選手もいつかは引退の時がくるのだが、ショートの守備としてはまさにレジェンドとも言うべき西山麗がとうとう引退してしまった。半世紀以上のソフトボール界の歴史において数多くの名内野手がいたとは思うが、ショートの守備でいうとこの西山がそのトップレベルにあったことは疑いはないだろう。しかも重い心臓の病と向き合いながらのソフトボール人生だったということが彼女の価値をさらに高めている。今後はコーチとして後進の指導に当たることになるようだ。個人的には話したこととかは一度もないのでよくわからないが、西山には名選手にありがちな「高慢さ」や「威圧的」なところ、超一流にありがちな「独りよがり」な部分が、どうやらほとんどないように思える。未熟な若い選手に対して思いやりのある、良い指導者になってくれるはずと、個人的には大いに期待している。 日立でもう一人、長い現役生活を終えて今年からコーチに就任したのが杉山真里奈。杉山と言えば長身でスタイルの良い美人で有名だが、個人的にはバッティングでの神懸かり的な勝負強さと、正確無比なライトの守備からの強肩スローイングが強烈な印象に残っている。日立が準優勝した2010年の決勝トーナメントでも上野から決勝のスリーランを放ったのがこの杉山で、それ以外でも、特にチームが相手投手に抑え込まれ敗戦濃厚の絶体絶命の場面で起死回生の一打を何度となく放ってくれた。ふと最近を思い返しただけでも、2013年開幕戦で7回にストークスから放ったサヨナラに繋がる二塁打、2014年開幕で三塁を狙った走者を刺した送球、第6節での7回2死、上野から放った同点打、第8節2-1で延長戦勝利した誘電戦で藤田から放ったホームランと決勝打などなど、枚挙に暇がない。今年の日立にとって、確かに西山の引退も大きいがこの杉山の「勝負強さ」がなくなるのが一番痛いのではないかと思うぐらいだが、そこは同級生の佐々木瞳が受け継いでくれるから心配ないだろう。余談だが杉山と言えば名選手なのにいつも笑顔で愛想がいい素敵な選手で、1部2部を問わずいろんなチームに友達が多い選手で、そういう部分もなんだか彼女の人柄を表していたような気がしていた。コーチとして選手を育てるのもそうだが、まだまだチームの顔として日立をいっぱいもり立てて行ってあげて欲しい。 畑迫遼子は若手の実力者が多い日立にあって2年間で計7回となかなか投げる機会は少なかったが、腐らずしっかり練習していた印象がある。2年目の2014年2節のシオノギ戦で、リリーフで6回の1イニングを投げピンチを抑えた試合で勝利投手をつけてもらえたのは、その頑張ったご褒美だったのかも知れない。※新人選手 さて新人選手に関してはタイミングが悪く今年は日立の選手をここまでほとんど見る機会がなかったので感想は差し控えたい。ただそれだけに今後この6人の選手たちのプレーを見るのがとても楽しみだ。【戸田中央総合病院】退団選手:7人(LF/25)太田あゆみ(8年)(CF/24)内田千恵美(7年)(1B/27)渡辺瞳(7年)( C/20)佐藤瑶(4年)( P/23)古賀彩子(2年)(2B/ 6)ジェニファー・イー(2年)(OF/19)二階堂夏帆(1年)新人選手:7人( P/20)中村美樹(星野)( C/24)古平綾香(星野)(1B/19)アマンダ・チェデスター(カブリニ高→ミシガン大)(IF/11)園田未紗(小倉商→大成学院大)(IF/15)田中江理奈(神田女学園→東北福祉大)(IF/25)坂本結愛(厚木商)(OF/ 8)川島怜那(神戸野田→武庫川女子大)移籍加入選手:人※退団選手 今年最も主力が数多く辞めたのが戸田中央総合病院。打順で言うと1番と3~5のクリーンナップ、それに正捕手と期待の若手投手が一挙に引退してしまったのだから非常事態だ。 太田あゆみはもともと高校時代から硬式野球をやっていたはずで、野球女子の日本代表にも選ばれていた選手。8年間のソフトボール実業団生活を終えて今年から女子プロ野球の世界に進んだ。女子プロ野球にはソフトボール出身の選手も多いが、実績的には太田が断トツなので是非とも実力を発揮してもらいたい。戸田中時代は2年目の2008年刈谷大会織機戦で江本奈穂投手からの先制タイムリーがリーグでの初打点で、その前日の太陽誘電戦でもヒットを放って勝利に貢献し頭角を現すと、翌2009年からは不動のレギュラーとして活躍。打率は低いながらも勝負強い打者としてチームには欠かせない存在だった。ちょっとムラっ気がありたまに手を抜くのも、まあ今となっては個性的な魅力の一つだったのかもしれない(笑)。 各チームにはそれぞれ顔となる選手がいるのだが、名捕手だった吉田真由美氏引退以降はやはり内田千恵美が戸田中央総合病院の顔になる選手だっただろう。早稲田大学を卒業後は銀行に勤めて普通のOLをしようと思っていたようだが、戸田中からの誘いを受けて実業団の道へ。1年目の2008年からレギュラーとして活躍し、時には4番にも座り新人賞も獲得と、順風満帆なスタートを切った。しかし2010年にチームは4勝をあげながらも最下位に沈んで2部に降格。内田は2部に降格したチームで主将を務めると、2011年は2部で圧倒的な強さで1位になり1年での1部返り咲きに導いた。センターへ高々と打ち上げるホームランの印象が強く、現役最後の打席となった2014年第10節ペヤング戦も、そういう内田らしいホームランで締めくくってくれた。今年度からは高校生を指導する立場に立つようだが、ソフトボール界では珍しく、常に冷静で自分の感情をコントロールできる頭の賢い選手だったので、きっと良い指導者になってくれるだろう。 渡辺瞳は戸田中入りがすでに決まっていた(はずの)白鳳大足利高時代、戸田中主催の夏の星野メモリアルに参加し、おそらく関係者に挨拶まわりをしていただろうことを覚えている。なぜならとにかく体が大きいからよく目立ったのと、関係者と間違えられて僕も挨拶をされたからだ(誰が関係者かわからないからとにかく誰にでも挨拶したんだろうな、笑)。体格のいい選手も最近は多いが、渡辺はその期待通りの豪快なバッティングを披露してくれた数少ない選手だった。0.358という高打率に加え8本で本塁打王を獲得しベストナインにも選ばれた2013年は、同時に二塁打と三塁打が0という珍しい記録も作った。入団から順調に成長し、2年目の2009年にファーストのレギュラーを獲得すると、3年目の2010年は怪我で規定打席数に届かなかったものの打率0.378で4本塁打とブレイクの兆しを見せていた。それだけに翌年のチームの2部降格はもったいないタイミングだった。まだまだ何年も活躍して欲しい選手だったが、余りにも早すぎる引退となってしまった。 大卒とはいえ佐藤瑶の4年目での引退もちょっと早すぎるなと感じるが、彼女もやはり怪我の影響でもあったのだろうか。2部降格時の2011年に戸田中に入り、良い捕手だった鶴澤眞緒が引退した2013年間からの2年間はレギュラー捕手としてチームを支えた。個人的には2013年の開幕節マクセル戦でのホームランが特に印象に残っているが、それ以外でも意外性のある打撃と堅実な守備はよく覚えている。 さて上記の3選手はそれなりにレギュラーとして数年活躍はしたが、まさにこれからとうい時に引退してしまったのが投手の古賀彩子。ほとんど登板機会のなかった1年目だったが、2年目には先発やロングリリーフも任されるようになり、特にデンソー戦では序盤の失点にも諦めずに投げ続け味方の逆転にも繋げ貴重な勝利投手にもなった。キュートな選手としても密かにファンが多かっただけに、2年での引退は本当にもったいない。※新人選手 戸田中も多くの新人が入ったが、個人的には残念ながらまだ顔とプレーが一致しない。今後しっかりフォローさせてもらいたいが、これだけ前年のレギュラーが抜けたのだから新人でレギュラーになれる選手も居るはずで、これは新人賞を取れる有力チャンスでもあるのだから是非とも頑張ってもらいたい。外国人選手としては比較的活躍したジェニファー・イーに代わってやってきたのがA・チェデスター。春先のオープン戦の結果からはあんまり評判は良くないが、しかし個人的には意外とやるのではないかと期待している。ファーストを守れれば少なくとも渡辺瞳の穴は埋めてくれると思っている。【SGホールディングスグループ】退団選手:2人(RF/21)中村歩(16年)(RF/12)村中美紀(4年)新人選手:2人( P/21)加藤あずさ(兵庫大須磨ノ浦→立命館大)(OF/ 3)中島香澄(佐賀女子→IPU環太平洋短大)移籍加入選手:0人※退団選手 現役生活16年という長きにわたって活躍してきた元本塁打王の中村歩がとうとうユニフォームを脱いだ。これは単に「ベテランが引退した」というだけでなく、「強豪ミキハウス時代を知る最後の選手が引退した」という意味で非常に寂しい歴史的ニュースだ。そのミキハウス最後の2004年は決勝トーナメント進出も果たし、この中村もレフトのレギュラーとして活躍していた。その年限りで廃部になり、翌年佐川急便として3部からの再スタートだったので、この中村は「1部決勝トーナメント、2部リーグ、3部リーグ」と、日本リーグの上から下まで全てを経験した最後の選手でもあった。あまり目立たないが、この中村の引退は一つの時代の終わりを象徴しているのかも知れない。打球が飛んだら目をつむりたくなる様なレフトの守備だったが、なぜかホームランキャッチだけは得意だったり、チェンジアップがとにかく苦手で泳いで簡単に空振り三振しながらも、チャンスではしっかり結果を残したりと、なんとも言えない愛嬌のあるプレイヤーでもあった。 村中美紀は小柄な左打者ながらパンチ力抜群で、まさにリトル中村歩と言った感じ。現役生活は短かったが、2013年と2014年のシーズンにはともに2本塁打ずつを放って存在感を示した。とにかくツボにはまった時の飛距離がすごくて、よくあんな小さくてあそこまで飛ばせるなあと感心したものだ。※新人選手 毎年多くの新人選手が入るSGHとしては今年は短大卒、大学卒の1名ずつという大人しい補強になった。しかも立命館と愛短大という渋いチームからの加入で、むしろ逆にこの二人には特に注目している。【伊予銀行】退団選手:4人(CF/17)相原冴子(7年)( C/11)小西智子(4年)(LF/21)近藤琴美(3年)(RF/20)酒井梨花(2年)新人選手:2人( C/ 2)北野まき(門前→淑徳大(2年))(SS/22)對馬弥子(花咲徳栄→城西大)移籍加入選手:1人( P/21)大西里帆子(高松東→甲賀医専)※退団選手 キャプテンとして2013年の2部優勝での1部復帰と、2014年初の自力1部残留にチームを導いた相原冴子も今年でユニフォームを脱いだ。実力がありながら怪我も多かった印象で、それでもいろんなポジションを守り背中でチームを引っ張ってきた熱いキャプテンだったように思う。本当に頼りになる選手だった。1部復帰を決めた2013年プレーオフでウィニングボールをライトでキャッチしガッツポーズした場面はいまだに覚えている。引退は残念なのだが、どうやら伊予銀行OGのお決まりコースのクラブチーム「アイクラブ」でソフトボールは続けるみたいなので、またクラブ選手権でプレーを見られるはず。 小西智子は小柄ながら動きの良い守備で捕手としてはなかなか良い選手だった。意外とバッティングもよく、小さいからだながらの豪快なスイングが印象に残っている。 近藤琴美は将来にわたって伊予銀行を背負っていく選手と思っていただけに、今年の引退の中では最もびっくりした選手かも知れない。色白の平安美人で、ソフトボール選手っぽくないところがまた良く、いかにも園田学園女子大出身と言った感じのスマートでカッコイイ選手だった。 酒井梨花も近藤と同じようにまさか引退するとは想像できなかった選手。地元の聖カタリナ高出身選手ということで、近藤以上にこのままずっと残ってくれて愛媛国体では中心選手になるだろうと思っていただけにとにかく驚いた。やはり怪我の影響もあったのだろうか。東北福祉大時代から注目していたこともあったので本当に淋しい限りだ。※新人選手 新入団はバッテリーとショートの3人。ショートの對馬弥子は守備には定評があり開幕からポジションを任せられそうだ。投手の大西里帆子は甲賀医専で2年間エースとして2部で投げてきた好投手。伊予銀行では木村、内海、庄司と若い投手が成長して来ているが、この3投手に大西が加わると伊予銀行もなかなか良い投手陣が形成できる。キャッチャーの北野まきは秋元監督の母校でもある淑徳大に在籍していたが、2年間で中退する形で今年伊予銀行に入ることとなった。【ペヤング】退団選手:1人(2B/19)一場茉裕(年)新人選手:0人移籍加入選手:0人※退団選手 いろいろと同情すべき事案が会社に生じてチームとしての存続も心配されたが、とにかく今年も1部でやってくれることと、ほとんどの選手がチームに残ってくれたことでで一安心できた。引退したのは木更津から入った1年目の一場茉裕だけ。セカンドの守備や代打での出場が多かったが、1年目から18試合とほぼ全試合に出場し3安打を放った。最終戦で放ったライト前ヒットは、井端並みの巧みなバットコントロールでなかなか渋い当たりだった。※新人選手 今年は新しい選手を補強できなかった。しかし上述したように去年までの選手たちがほとんど辞めずに残ってくれたのが大きい。選手層はもともと厚く、個々の選手も潜在能力の高い選手が多いので、ほぼ変わらないメンバーで2年間戦えるというのはむしろチームにとってはプラスに働くように思える。とにかく、会社にとっても選手たちにとっても、苦しい冬を乗り越えてここまでたどり着いたという経験、その経験こそが何よりの財産であり、何よりの「補強」だろう。春になるまでほとんど全体練習をできなかったという話だが、トヨタカップを見る限りそのような不安はほとんど感じられなかった。個人的には全く心配していない。【NECプラットフォームズ】退団選手:人( C/17)井本琴美(8年)( P/ 1)松浦葉月(2年)( P/56)宮崎夏菜(4年)(2B/ 6)嘉屋千紘(4年)(SS/)稲垣ゆみこ(5年)新人選手:人( P/11)豊永優(壱岐→IPU環太平洋大)(3B&2/ 9)瀧下麻理(福岡大附若葉→IPU環太平洋大)(2B/21)園田果菜(神村学園)(CF/ 8)鈴木茜(山梨学院大附→山梨学院大)移籍加入選手:人※退団選手 1部への初昇格が決まった昨年の2部順位決定節の直後、はや今年の開幕が楽しみで仕方がなかった。首位打者を取った好打者の嘉屋千紘は1部でどれくらいの打率を残すだろうか、とか、ピッチングの巧い左のエースの宮崎夏菜は意外と強豪チーム相手に好投するんじゃないだろうか、これは織機が苦手なタイプだな、とか、あるいは若き好投手の松浦葉月も怪我から復帰していよいよ実力発揮になるだろうな、などなど。怪我がちでコーチ兼任だった井本琴美や、大鵬時代に1部経験のある稲垣ゆみこなどはあるていど予想はしていたが、まさか嘉屋も宮崎も松浦も引退してしまうとは夢にも思わなかった。辞めた理由をあれこれ詮索しても仕方がないが、しかし1部でやれるのを目前の引退は本当にもったいないというか残念でならない。特に個人的にはかなり好きな投手だった宮崎が1部で投げる姿を一度でいいから見てみたかった…。 稲垣は大鵬薬品出身で移籍したNECではキャプテンも努めた選手。内外野に捕手も守れるオールラウンドプレイヤーで、大鵬での1部時代はライバル靜甲戦での貴重なホームランや、ルネサス戦では上野から3安打を放つなど、とにかく意外性抜群の楽しい選手だった。 ベテラン捕手の井本は勝負強さと髪の毛の硬さには定評があった選手。いつもギリギリの場面で二遊間や左中間をライナーで破る貴重なタイムリーを放ってくれた印象がある。今年のNECが捕手で苦労しているところを見ると、今からでも遅くないからなんとか復帰してくれないものかと本気で願っている。※新人選手 身長178cmのまさに大型新人投手なのが壱岐の島出身の豊永優。環太平洋大学時代は期待されながら開花できず、織機に入った海部栞菜の常に控えに甘んじたが、長崎県代表エースとして出場した長崎国体本戦で太陽誘電主体の群馬県を相手に1-2惜敗の好投を演じて潜在能力の高さを見せつけた。何より地元壱岐で行われた国体に地元長崎県のエースとして出場するというこれ以上ない幸運な巡り合わせの持ち主。そういう強運さを考えても、日本リーグでも何かを成し遂げてくれそうな期待が膨らむ。 選手層が少ないこともあるがレギュラー陣がしっかりしていてポジションが安定しているのもNECの特徴。そこからセカンドと捕手のレギュラーが抜けて、センターの和田美樹が捕手に回りそうなので二つのポジションが空いた。山梨学院大時代に1年時から活躍し大学日本代表も経験した鈴木茜、環太平洋大で主将だった瀧下麻理、神村学園から入った園田果菜の3選手も最初からどこかのポジションを任されることになるだろう。
↧