<決勝(あきるの市民球場)>【大和電機 v.s. シオノギ製薬】大和電機 000 0050…5-7-0
シオノギ 010 0000…1-5-0
大和電機:○小西あかり-岡村香織シオノギ製薬:池田美樹、●岩田みゆき、村上絵莉愛-岡恵利華、古藤優実(本):山口めぐ(大、満塁)(三):(二):【テーブルスコア(Game-13)】【戦評】 1-0で迎えた6回、1死満塁から岡村香織が初球デッドボールで同点になる。続いて打席に入ったのが新人の山口めぐ。その初球、思い切りフルスイングしたバットにボールがジャストミート。打球は打った瞬間にわかるような弾道でセンターフェンスを越えた。と同時に、ここまでうっすらとも考えていなかった「大和電機優勝」の文字が、突如目の前に現れた瞬間でもあった。 四死球の後の初球、ストライクを取りにくる投球を狙って行くのがセオリーとはいえ、その投球に対しフルスイングして一振りで仕留めた山口の打撃は本当に素晴らしかった。 ただもう一つ考えを巡らせると、あんな緊迫した場面でいくら「思い切って振って行け!」と言ったところで普通はあんなに思い切り振れるものではない。それを選手たちが迷いなく「フルスイング」できるようになったのは、間違いなく本田美穂監督の指導やチーム作りの賜物だろう。 ここ数年の大和電機と言えば「気持ちいほどのフルスイング」と「細かいことを指摘せずどんどん思い切ったプレーをさせる」というのが売りのチーム。本田監督はいつも「選手が勝手にやってくれるから」なんて言っているが、選手たちが何の気負いも迷いもなく、思い切りプレーできる環境を作ってあげているまさにそれこそが本田監督の手腕であり真骨頂だろう。 本田監督は戸田中に選手で入った1年目から知っている選手で、2部への移籍やパナソニック時代の選手10人での1年間のリーグ戦、その後の再移籍に突然の選手兼任監督就任など、苦労を重ねて少しずつ成長してきた選手でもあり監督でもある。そんな監督がとうとう「優勝監督」という地位にたどり着いた。なんか本当に見てきた自分としても嬉しくて仕方がない。心からおめでとうと祝福したい。 それにしてもこの大会の大和電機は選手全員がそれぞれ役割を果たして勝ち抜いた素晴らしい戦いだった。これをきっかけにして、そろそろリーグでも上位争いをできるようなチームに成長してほしい。今日の試合なんて、1部のチームを見ているような素晴らしい戦い方だった。 一方優勝が半ば義務づけられていながら準優勝に終わったシオノギ製薬。どうもこの大会は、というかリーグの前半戦を終わって以降打線の調子があまり良くない印象を受ける。 2部といっても良い選手、良いチームが多いので、そうそう簡単に勝てるものではない、ということを思い知らされたのではないだろうか。 シオノギにとっての最大の目標は1年での1部復帰で、そのためにはいくらセクションでぶっちぎり1位通過しても、順位決定節での1位対決の一発勝負で勝たないといけない。それを考えると、今日の敗戦は高い代償とはいえ良い勉強になったのではないだろうか。今後は練習試合だろうが国体予選だろうが、全て「何が何でも勝つ」ことを意識した戦い方をしていってほしい。2部チーム相手にはもうどんな場面でも1試合の取りこぼしもできないですよ! 【試合経過】<1回> (表)シオノギの先発は池田美樹。2死後に小栗有加がライト前にクリーンヒットを放つも期待の中嶋瞳が左飛に倒れて無得点。 (裏)大和電機の先発は小西あかり。2番の横野聖奈が高いバウンドのサード内野安打を放ち3番岡恵利華が送るもこちらも期待の數原顕子が三邪飛に倒れて無得点。<2回> (表)先頭の岡村香織がライトにクリーンヒットを放つも盗塁死などもあり結果的に三者凡退。 (裏)先頭の上田恵が二塁内野安打、続く金子沙耶がセンター前クリーンヒット。亀井愛梨が送った後に長平雅がエンドラン成功。シオノギがらしいソツのない攻めで先制。<今大会好守連発だった角山瞳が上田恵の弱い打球を必死に捌くも内野安打に><続く金子沙耶が強打でヒットを放ちチャンスを広げると><1死二三塁から長平雅がしっかり仕事をしてエンドラン成功でシオノギがあっさり先制><3回> (表)先頭角山瞳の左中間抜けそうな鋭い打球をレフトの新藤美樹がダイビングキャッチのファインプレー!三者凡退。 (裏)先頭の三宅美咲が四球、続く横野が送り、岡が倒れた後に數原とは無理に勝負せず。ここで上田が完璧な打球。打った瞬間「スリーラン行ったな~」と思ったが、センター新田和音が諦めずに必死に追ってフェンスに持たれかけながらもボールをキャッチ!サッカーゴールにシートをかけたバックスクリーンに跳ね返りながらもボールを離さず、致命的な3失点を防ぐ貴重な貴重な超ファインプレー!!<3回表、先頭角山瞳の二塁打性の打球をレフト新藤美樹がダイビングキャッチ!><3回裏、2死一二塁から上田恵がスリーランホームラン!><と誰もが思った瞬間、センター新田和音がフェンスに倒れかけながらも離さないスーパーキャッチ!!><この新田のスーパープレーが全ての流れを変えた><4回> (表)この回からシオノギは投手に左の岩田みゆき。先頭の新田がタイミングが合わないながらも必死に粘り最後はセンターにクリーンヒット。しかし打者中嶋の場面でタイミング微妙ながら盗塁死。その中嶋は慎重に攻められて歩かされ、岡村がライト前にクリーンヒットで再度チャンスを作るも、山口めぐが空振り三振で逸機。 (裏)先頭の金子、9番の代打吉田美姫に四球を与えるも、三宅をショーっとゴロに打ち取ってピンチ脱出。<4回表、代わった岩田みゆきの変化球に翻弄されながらもセンター前ヒットを放った新田><5回> (表)田中智佐世、角山瞳、代打の河西香織と3人続く左打者が岩田に翻弄されて三者連続三振。 (裏)大和電機の小西もこの回は立ち直り、2死から數原にヒットは打たれたが3人を内野ゴロに打ち取る。<6回> (表)そして運命の6回が始まる。先頭の後藤菜緒子が三遊間にゴロで転がす内野安打で出塁。続く新田が再び粘りながらもセンターにはじき返して無死一二塁と岩田を攻める。3番で甲賀医専時代の同級生の小栗有加は空振り三振に倒れるも、4番の強打者中嶋に大きなファールも打たれたことで慎重に攻めて歩かせ1死満塁。ここで先ほどの回に三者連続三振に仕留めた岩田とは別人の悪い時の岩田が顔を出してしまう。打席に入った岡村に対し初球を背中の真ん中にドスンとぶち当たる死球を与えてしまいあっさりと同点。そしてバッテリーともに動揺したか、続く山口に対する初球でなんとなくストライクを取りに行ってしまうと、山口の打球は打った瞬間にわかるような完璧な当たり。まさかまさかの勝ち越しの満塁ホームランとなる。 (裏)何とかして反撃したいシオノギだったが小西が落ち着いた投球。6番からの打者3人を内野ゴロに切って取って無失点。<この回も先頭の新田が岩田の変化球に翻弄されながらも粘って粘ってセンター前ヒット><チャンスを満塁にして次の打者、岡村香織の初球が背中にぶち当たる押出しデッドボールになり同点><そして押出し死球直後の初球、山口めぐが思いっきりフルスイング><山口の打球は打った瞬間に分かる特大の一打。センターフェンスを大きく超える満塁弾となる><大喜びの大和電機ナイン。「もしも勝てればいいのになあ」というくらいの願望に、かなりの現実味が加わった瞬間><7回> (表)6回途中からリリーフした村上絵莉愛が無難に三者凡退に抑える。 (裏)そして最後の攻撃。1死後に1番の三宅が三塁強襲安打で出塁するも、横野が左飛、岡が中飛に倒れてゲームセット。大和電機は大方の予想を覆す素晴らしい戦いで実業団選手権初優勝を成し遂げた。<先頭の豊村未来のショートへの打球を軽快に捌く岡山弥生(元島根三洋)><最後の打者、岡の打球がこの日大活躍の新田のグラブに収まりゲームセット!大和電機チーム発足以来初の「優勝」の瞬間>【試合終了】<戸田中央総合病院1年目から知る本田美穂監督が、ついに「優勝監督」に。苦労して苦労していろんなチームを渡り歩いてここまできただけに、この優勝は本当に心から祝福したい><優勝した大和電機ナイン><残念ながら準優勝のシオノギ製薬ナイン>
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